イエローストーン国立公園は面積が四国の半分もある巨大なエリアです。そして自然との共生を大事にしていることもあって、野生の動物たちに数多く出会うことができます。
ここではイエローストーン国立公園で見ることができる動物を紹介し、その魅力の一部に触れて行きましょう。
1・アメリカバイソン
アメリカンバッファローとも呼ばれていますが、学名は「American Bison」です。北アメリカに生息しており、体長3m、体重1ton程度は成長したオスには多く見られ、中には3.8m、1.4tonにも及ぶものもいます。
イエローストーン国立公園ではシンボル的な存在になっていて、のんびりと歩く姿をしばしば見ることができます。しかし、走った場合の速度は時速60キロにも達するそうです。
もともと先住民としてイエローストーンに住んでいたインディアンたちは、アメリカバイソンの狩猟を行っていましたが、白人の入植・乱獲によってアメリカバイソン絶滅の危機にさらされます。白人が来る以前は6000万頭ものアメリカバイソンがいたと推測されていますが、1889年にはわずか541頭しか残っていませんでした。
保護政策が進んだこともあって、現在では3万頭まで回復していますが、いまだに準絶滅危惧種にリストアップされています。
2・エルク
本来イエローストーン国立公園で「エルク」と呼ばれているのは「アメリカアカシカ」のことです。学術的には「エルク」は「ヘラジカ」の別名で、イエローストーン国立公園にはいないのですが、紛らわしいのでここでは「エルク」と呼ぶことにします。
エルクは全長で3m程度、体重は平均で250kg程度になります。イエローストーン国立公園内ではマンモス・ホットスプリングの周辺で多く目撃されています。
オスは大きくて立派な角を持っていますが、年ごとに生え変わる性質を持っています。
3・アメリカビーバー
北アメリカ大陸に住んでいます。体長は70~90cm、体重は20~25kg程度です。夜行性と言われていますが、イエローストーン国立公園内で昼間見られることもあります。
木の枝、根、葉、樹皮などを食べています。木の枝などで作る「巣
も見事ですが、川の流れを止めてそこに巣を作る技術が何よりも有名な点でしょう。
野生では15年~20年程度生きるとされています。毛皮を目的とする乱獲で絶滅の危機がありましたが、保護されたことによって、かなり復活しています。
4・ブラックベア
体長1.2~2m、体重45~400kg、日本名はアメリカクロクマです。名前は「ブラックベア」ですが、グレーやブラウンの個体も多く、まれに白い体毛の個体も存在しています。
特徴として木登りがうまいこと、雑食性であること(木の実や根、果実を食べるだけでなく、昆虫や魚、ほ乳類も食べます)などが知られています。
イエローストーン国立公園では1950年代に、観光地化促進のために餌付けされた時期があります。この時人間との接触が増えたために、人間がクマの被害に遭う事件が起こりました。これを受けて多数のクマが処分され、公園内のクマは激減します。
その後、「野生動物は野生のままに」という考え方が実行され、餌付けされるようなことは無くなりました。公園内のクマの数も少しずつ増えてきています。
5・オオカミ
体長100~160cm程度、体重25~5kg程度、基本的に肉食ですが、まれにトウモロコシなどを食べることもあります。
オオカミは家畜を襲うだけでなく、時には人間を襲うこともある、というイメージを持たれて過去には「害獣」という扱いを受けてきました。日本に生息していたニホンオオカミも明治時代に絶滅していますが、イエローストーンでも1930年代には絶滅したと言われています。
しかし、オオカミがいなくなったことで、公園内ではエルクなどの比較的大きい草食動物が増える傾向が見られるようになります。
1966年からオオカミを再導入しようという声はありましたが、「家畜に害がある」などの反対意見も強く、さまざまな調整が必要となりました。1995年にはようやく議会の承認も得られて、カナダで捕獲された野生のオオカミがイエローストーン国立公園に再導入されました。
この時31頭だったオオカミは現在は1000頭ほどになっており、エルクの増加にも歯止めがかかりました。これによって草木が増えて、小動物が復活し、それを捕食するイタチやキツネ、ワシなども数を増しています。
これは「20世紀最大の実験」とも言われて評価されており、日本でもオオカミの再導入を検討している自治体も存在しています。
6・まとめ
イエローストーン国立公園で見られる動物について解説しました。ただし、ここに上げたのはほんの一部です。広大な面積を持つイエローストーン国立公園には、哺乳類だけでなく、鳥、爬虫類、魚など多種多様な動植物が生息しています。特別に動物に詳しい方でなくても、美しい自然の中に生きる動物たちを見ることは、感動に繋がります。
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